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Vol.12 島根県益田市(岡田屋本店のある町)
日本一の清流をたどる

島根県益田市。
JR益田駅の正面には『祝・清流高津川 2006年国土交通省実施水質調査 日本一』の大きな看板が掲げられている。
これは、国土交通省が1958年(昭和33年)から実施している、全国の一級河川の水質調査において、2006年、2007年(平成18年、19年)と2年連続で、市の中心を流れている高津川が、全国第1位となったためである。

山口県、広島県に隣接する、島根県鹿足郡吉賀町に源を発し、益田市にある河口を経由して日本海に注ぐ高津川の全長は81kmに及ぶ。この高津川の最大の特徴は、一級河川でありながら日本で唯一、支流を含めてダムが一切ないことだ。また、規模が大きい河川ではあるが、上流や中流域に人口密集地がないことも、国内有数の清流としての名声を支える一因となっている。

吉賀町に発する水源は、現在『水源公園』として整備されており、山の中にわざわざ分け入らなくても、誰でもその美しい水面を眺めることができる。
『大蛇ヶ池』と呼ばれる水源池は、島根県の名樹100選である高さ20m、根回り5m、樹齢1,000年以上と言われる『一本杉』の根元に広がる。この池にはいにしえの伝説があり、古文書によると、出雲の国でスサノウノミコトに討たれたヤマタノオロチの陰霊が、この池に棲みついたのだとされている。昔から干ばつの時には、藁で編んだ龍を池に入れれば、たちまちにして雨が降ると伝えられており、現在も毎年6月下旬に行われる『水源祭り』の際に、伝統の『雨乞い神事』は欠かさない。

高津川は源を発する吉賀町から津和野町日原へ流れ抜けていく。その折々、田園や畑、まわりの山々との美しい調和を見せ、川を据えたこれらの景色に見飽きることは一切ない。
この川が清流である証の一つが、鮎をはじめとした川魚の豊かさだ。ダムがないということは、水がせき止められず、年間を通じて自然な増水が川底を洗い流しているために泥が溜まりにくく、特に川苔を餌とする鮎が生育するには絶好の環境である。現在でも自然遡上の鮎が8割以上を占めるとされ、毎年鮎つりが解禁となると太公望たちを魅了してやまないのである。もちろん、天然鮎としての品質は非常に高く評価されており、また、高津川の特産品として、甘露煮やうるかなど、豊富な『鮎商品』が、みやげ物店や道の駅などで販売されている。

いくつかの支流の中で、益田市で合流する匹見川は、高津川の水源とは別方向、県の南西部に位置する匹見町から流れが生まれている。西中国山地国定公園に指定されるこのエリアは、匹見川とその支流に、美しい渓谷美を見せる匹見峡が広がる。約4kmにおよぶ『表匹見峡』は、神秘的な色彩をたたえる深淵や、風雪に磨かれた岩石など、色とシルエットが織り成す世界。これに対して切り立つ断崖や変化に富んだ渓流のうねりが印象的な『裏匹見峡』は、男性的様相だ。また、さらにその奥には秘境とも言える『奥匹見峡』が続く。 美しい川の流れとともに、時間の流れが生み出した自然美が、高津川水系流域には溢れている。

益田市内の石見横田駅付近、高津川は匹見川と流れが一緒となり、エメラルドグリーンに輝く日本海へと続く。
人口が過密ではないにしろ、流域にはたくさんの人々が長い年月住んでいる。それでいて、日本屈指の清浄さを保ち続けられるのは、この地域住民の方々の努力の賜物だと言わざるを得ない。
人々の深い愛情が高津川の清らかさを深め、そこに豊かな生命が育まれている。

日本酒蔵元 岡田屋本店
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